もりすの数学ブログ

大学入試数学の解説(仮)

2021 東京大学(理系) 数学 大問1 解答&解説

こんにちは。もりすです。

今回は、東京大学(理系)の大問1の解説を書いてみました。

大問1は軌跡と領域(数学Ⅱ)に関する問題ですね。

※ 東京大学では,問題文の2次利用は制限されていますので,解答のみの掲載となります.

過去問が公式HPから公表され次第,URLを添付します.それまでは,各予備校または新聞社のURLから問題文を見てください.

 

私の解答

 

 

(1)

y=x^+ax+by=-x^2 との交点の x 座標は,次の二次方程式の解になる.

x^2+ax+b=-x^2 すなわち 2x^2+ax+b=0

その2解を小さい順に \alpha,\beta とするとき,-1\lt\alpha\lt0 かつ 0\lt\beta\lt1 となることが条件である.

f:id:yun_moris:20210309003526p:plain

f(x)=2x^2+ax+b とするとき,以下のすべてを満たすことが,題意を満たすことの必要十分条件である.

 \displaystyle\left\{\begin{array}{l}f(-1)\gt0 \\f(0)\lt0 \\f(1)\gt0 \end{array}\right.

すなわち,

\displaystyle\left\{\begin{array}{l}-a+b+2\gt0 \\b\lt0 \\a+b+2\gt0 \end{array}\right.

 以上をまとめると,下の図のような領域になる.ただし,境界はいずれも含まない.

f:id:yun_moris:20210309003331p:plain …(答)

(2)

y=x^2+ax+b を変形した b=(-x)a-x^2+y は,ab 平面における直線の式を表す.

この直線を l とするとき,求める条件は「直線 l が(1)で求めた領域と交わる」ことである.

傾き (-x) を以下のように場合分けする.

(i) (-x)\leqq-1 のとき (ii) -1\lt(-x)\leqq0 のとき (iii) 0\lt(-x)\leqq1 のとき (iv) 1\lt(-x) のとき

また,直線 l が次の点を通るときの式は以下の通り

(-2,0) → y=-x(a+2) すなわち y=(-x)a-2x

(0,-2) → y=(-x)a-2) すなわち y=(-x)a-2x

(2,0) → y=-x(a-2) すなわち y=(-x)a+2x

 

(i) x\geqq 1

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(-2,0) を通るときに切片が下限となり,(2,0) を通るときに切片が上限となる.(今問は,その点自身は含まれないので,「最小・最大」という表記は不可.)

切片に着目して,不等式を作成する.

-2x\lt -x^2+y\lt 2x

∴ x^2-2x\lt y\lt x^2+2x

 

(ii) 0\leqq x\lt 1

f:id:yun_moris:20210309013313p:plain

 (0,-2) を通るときに切片が下限となり,(2,0) を通るときに切片が上限となる.

切片について,-2\lt -x^2+y\lt 2x

∴ x^2-2\lt y \lt x^2+2x

 

(iii) -1\leqq x\lt0

f:id:yun_moris:20210309014145p:plain

(0,-2) を通るときに切片が下限となり,(-2,0) を通るときに切片が上限となる.

切片について,-2\lt -x^2+y\lt -2x

∴ x^2-2\lt y \lt x^2-2x

 

(iv) x\lt -1

f:id:yun_moris:20210309014312p:plain

(2,0) を通るときに切片が下限となり,(-2,0) を通るときに切片が上限となる.

切片について,2x\lt -x^2+y\lt -2x

∴ x^2+2x\lt y \lt x^2-2x

 

以上をまとめると,図のようになる.

f:id:yun_moris:20210309015316p:plain …(答)

 

 

いかがでしょうか。

解いた感じは,東大の中では易問の方に分類されるかなと思います.

(1)は入試基礎内容ですが,そこから(2)にどのように使えるかを考える必要があります.

(2)では,xy 平面で直接考えるよりも,いったん ab 平面の方に逃げて,そこから攻めていくのがやりやすいかなと思います.

(iv)のところを解いている途中から思いましたが,x\leqq 0x\geqq 0 で対称性を使えば,(iii)と(iv)は省略可です.でも,もうここまで来てしまったから…と最後までやっています.

なお,途中の図から値は解説時に必要なところしか書いてませんが,実際の試験ではきちんと省略せずに書いてください.

 

ここまで見ていただきありがとうございました.

それでは,大問2以降は次回の記事で.